最近のスマホって何故カメラがたくさん付いているの?役割を解説【クアッドカメラ】

カメラ・レンズ

せろりんです。

最近のスマホにはカメラがたくさん付いています。背面カメラだけでも2個や3個はあたりまえ、中には5個というものまであります。

普通に考えれば背面カメラなんて1個で良さそうですが、なんでアホみたいにカメラをゴテゴテと付けるんでしょうか?解説していきます。

①画角を変えるため

ひと昔前のスマホはカメラが一つしか付いていませんでした。どっこい最近は一つしかカメラが付いていないスマホなんて見つけるほうが難しい程です。で、昔のスマホに付いていた唯一のカメラは、やや広角に撮れるカメラでした。いわゆる「メインレンズ」「広角レンズ」と呼ばれているものです。

で、カメラが一つしか付いていなかった頃のスマホの致命的な欠点は、ズームできないことでした。構図を自在を変えるためにはズーム機能が必要不可欠です。どんだけ性能が上がっても、ズームが出来なければ一眼レフや普通のデジタルカメラには勝てません。

一応、昔のスマホカメラでもズームっぽいことはできました。デジタルズームと呼ばれている方法です。名前こそカッコイイですが、実際は画像を拡大してズームっぽく見せているだけなので、遠くの方はぜんぜんキレイに写らず、画質は最悪でした。

そこで、遠くを見ることができる望遠レンズを載せたスマホが流行り始めました。デジカメのズームレンズとは違って連続的にズームすることはできませんが、メインレンズと望遠レンズの切り替えによって画角を変えることはできます。

HUAWEI P30というスマホの3倍望遠レンズで撮影した写真です。

メインレンズで撮った写真と比べて遠くまで写っています。望遠レンズを搭載したおかげで、遠くにあるものまで撮影することができるようになりました。

望遠レンズがあると鳥や飛行機を撮るときにめちゃくちゃ役に立ちます。ただし、望遠レンズの素晴らしさは、遠くのものが綺麗に撮れるということだけではありません。

メインレンズで撮りました。広角で近くから撮った写真です。背景にいろいろ写り込んでいてうるさいですね。モリゾーもやや離れた位置にいる印象があります。

今度は望遠カメラで撮りました。望遠で遠くから撮った写真ですね。背景にごちゃごちゃと写り込んでいたものはほとんどカットされています。ふなっしーとモリゾーの間にあった距離感も、なんだか縮まっているように見えます。

「望遠で遠くから撮る」のと「広角で近くから撮る」のとでは、同じように思えて実はまったく違う絵になります。特に遠近感の表現に大きな差が出ます。遠近感が少ない表現が可能なのも望遠カメラの素晴らしい点です。

で、望遠レンズを搭載したことによって遠くの小さいものが撮れるようになったんですが、スマホ開発者の人たちは、スマホだと近くのデカいものが撮れないことに気づきます。そこで登場したのが「超広角カメラ」です。

超広角カメラで撮りました。

さっきも載せたメインカメラの写真です。比べてみると、超広角カメラのほうが手前まで写っています。また、超広角カメラの写真のほうが遠近感がはっきりとしています。望遠レンズだと遠近感が無くなる現象の逆が起こっています。

メインカメラで撮ったウポポイです。建物全体が写っておらず、両端が見切れています。

超広角で撮りました。建物全体が入っています。このように超広角カメラが付いていると旅行のときにめちゃくちゃ便利です。

ということで、幅広い画角に対応するために望遠カメラとメインカメラと超広角カメラの3つを搭載しているのが多カメラ化の原因の一つです。

超広角カメラは便利で需要が大きくてコストも安いようなので、最近はほとんどのスマホに搭載されています。一方で望遠カメラは10万円を超えるような高いスマホにしか搭載されません。たとえば9万で買えるiPhone12は超広角+メインカメラの二眼構成ですが、11万もするiPhone12 Proは超広角+メインカメラ+望遠カメラの三眼構成です。

ということなんですが、メインと超広角と望遠の3つだけでは、クアッドカメラ(4カメラ)やペンタカメラ(5カメラ)の存在を説明できません。最近のスマホにはもっといろいろな謎のカメラが付いています。

②カメラを補助するカメラ

メインカメラを補助するための様々なカメラがくっついているケースもあります。

モノクロカメラ

たとえばモノクロカメラというのが付いている機種があります。モノクロカメラ単体でモノクロ写真を撮ることもできますが、それがメインの用途ではありません。

モノクロカメラは、カラーのカメラよりも多くの光を取り込める性質があります。モノクロカメラで取り込んだ光の情報を元にメインカメラの写真を補正してやることで、夜景を撮影したときのメインカメラの画質を上げることができます。モノクロカメラはそのために付いています。

そんな感じに、最近のスマホカメラは、撮影データをこねくり回しまくって綺麗に見える写真を合成する方法を採用しまくっています。もはや写真と言って良いのか微妙なレベルですらありますが、とはいえこねくり回しまくって綺麗に見える写真を合成する方法が主流になってからスマホカメラの画質は急激に向上しました。

モノクロカメラは一昔前だとHuaweiの高いスマートフォンを中心に採用されることが多かったですが、最近はあんまり搭載されません。モノクロカメラなんて無くてもそれなりにきれいな写真が撮れるようになってきたからでしょう。

最近だと逆に安いスマートフォンに搭載されていることがあります。コストは抑えたいけどカメラの数だけ増やして、トリプルカメラとかクアッドカメラとか宣伝したいという発想のようです。そういうスマホは、当然ながら画質はイマイチです。中にはモノクロセンサーを積んでいると言っていながら、実際に積んであるのはただのダミーで、実はまったく働いていないという機種もあります。

サブカメラ

1000万画素以上のメインカメラに加えて、200万画素くらいのショボいカラーカメラをもう1個搭載する例もあります。そういうのをサブカメラと呼ぶことがあるんですが、自撮り用のインカメラのことをサブカメラと呼ぶこともあるので紛らわしいです。

おれが持っていたHuawei P20 liteという機種がサブカメラ搭載機種の典型です。モノクロカメラのように、メインカメラを補助する用途で使われます。モノクロカメラと違って、サブカメラ単体で使うことはできないっぽいです。

(Huawei P30で撮影)

最近のスマホカメラは背景がボケボケの人物写真を撮影することができます。こういう背景がボケた写真は、原理上一眼レフみたいな高くてデカいカメラにしかできない、というのが業界の常識でした。どっこい安くて小さいHuawei P20 liteでもこういう写真は撮れます。微妙に違う位置にくっついているサブカメラとメインカメラで撮影した画像を見比べることで距離感を認識し、背景と被写体をキッチリ見分けた上で背景だけにボケ表現を加える処理をしています。人間が右目の情報と左目の情報を見比べて距離の情報を得ているのと同じです。

で、スマホ業界だと一時期は低画素なサブカメラを搭載するのが流行ったんですが、最近はメインカメラだけでも背景がボケた写真を撮ることができるようになってきました。片目をつぶっていてもなんとなく距離感がわかるのと同じで、カメラ一つでもAIとかそういうのを使って無理やり距離を認識する技術が発達してきたみたいです。

ということでHuawei P20 liteに載ってるような低画素なサブカメラは、最近の高いスマホには搭載されません。ただし絶滅してしまったわけではなく、安いスマホにはわりとよく搭載されています。コストをかけずにカメラの個数を増やしてスゴみを演出しようという魂胆があるようです。こちらもめちゃくちゃ安い商品に積んであるものはダミーな場合があるようです。サブカメラをテープで塞いで写真を撮っても、写真の写りがまったく変わらない、なんてレビューはよく見ます。

ToFセンサー

カメラと言ってよいのか怪しいですが、ToFセンサーというのを一つのカメラとしてカウントするメーカーもあります。

ToFはTime of Flight(飛行時間)の略です。光をバシバシ飛ばして、被写体にぶつかってセンサーに帰ってくるまでの時間を計測することで、被写体までの距離を測るセンサーです。

空間の形状をスキャンすることができるので、たとえばフィギュアのカタチを記録して3Dデータにして3Dプリンタでプリントする、みたいな使い方ができます。

Xperia 1 Ⅱ SO-51A│スマートフォン(5G)│製品│NTTドコモ (https://www.nttdocomo.co.jp/product/so51a/)より

いろいろ使えるToFセンサーですが、写真用途としては、これもメインカメラを補助するためのセンサーです。正確に距離の情報を測ることができるので、やはり背景がボケた人物写真を撮影するときに役に立ちます。

あとは暗い場所でのオートフォーカスにも使われます。暗い場所ってなかなかピントが合わずにピンぼけしがちですが、暗い場所でもToFセンサーで正確な距離を測ってやれば正確にピント合わせすることができます。

最近は高いスマホを中心にわりといろいろな機種に搭載されています。

ToFセンサーは被写体の情報を得るための機能はあるものの、画像を得るための「カメラ」とは違うので、カメラ一つとしてカウントするかどうかはメーカーしだいです。たとえばAppleは、ToFセンサーのことをカメラの個数にはカウントしていません。一方でHUAWEIなんかはチャッカリしているので、ToFセンサーをカメラとしてカウントして、たとえばP40 Pro+のことを「ペンタカメラ」なんて呼んでます。

③へんな写真が撮れるカメラ

赤外線カメラ

『BV9900 Pro │Blackview Mobile』(https://jp.blackview.hk/buy/bv9900pro)より 

赤外線カメラを搭載している例もレアですがあります。物体から出る赤外線を撮影するためのものです。写真としてインスタ映えを狙うというよりは、身の回りのものの温度を調べて遊ぶのが主な用途でしょう。

もしかするとお仕事で使う人もいるかもしれません。配管がどのくらいの温度になっているのか調べるとか、ビニールハウスの中の温度のムラを調べるとか、使いみちはありそうです。

ごく一部のスマホにオモチャとして搭載されている例がいくつかあるくらいで、とてもレアです。

暗所専用カメラ

暗い場所を明るく撮るための専用カメラを搭載したスマホもあります。TCLのPlexや10Liteという機種は200万画素の暗所専用カメラを搭載しています。普通のスマホカメラが1000万画素くらいあることを考えると超低画素です。

あえて画素数を落とすことで1画素あたりの光の量を増やして夜景撮影に全振りする作戦をやっているらしいです。夜景が綺麗に撮れるらしいですが、とはいえ専用センサーなんて使わなくても最近の高いスマホは夜景がキレイに撮れるので、あえて採用しているメーカーはTCLくらいです。超レアですね。

マクロ専用カメラ

近くの小さいモノをデカく撮れるのがマクロカメラです。

近くの小さいモノをここまでデカく撮れるのがマクロカメラです。

ふつうはピントが合わないような近くの被写体でも余裕で撮れます。

マクロカメラは使ってみると面白い写真が撮れて楽しいんですが、正直言って普通に生活しているとまず使わないのが実情です。したがって、あんまり高いスマホには搭載されません。やはり安いスマホのカメラ数水増しのために使われているみたいです。

超広角カメラなら、マクロほどじゃないですが相当近くまでピントが合うので、あえてマクロカメラを載せるがあるのかと聞かれると微妙です。

カメラはたくさんあってもしょうがないぞ!

以上のように、スマホのカメラといってもメッチャいろいろあることがわかりました。

中にはほとんど役に立たないカメラもあります。一応カメラは付いているけど全く働いていない例もあります。数だけを基準に選ばないほうがいいとは思います。個人的には超広角とメインと望遠、さらにToFセンサーを加えた構成が一番バランスがいいと思います。とはいえそういうスマホは値段がヤバいので、あんまり写真にこだわらない人は超広角とメインのデュアル構成がいいんじゃないでしょうか。

終わり。

せろりんでした。

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