スマホ折り畳めないザコおるかー?Galaxy Z Flip3 5G レビュー

スマートフォン

せろりんです。画面ごと折り畳める謎のスマホ「Galaxy Z Flip3 5G」を購入したのでレビューしていきます。4ヶ月使った上での感想です。


定価14万で超安いぞ!

デン!Galaxy Z Flip3 5Gです。

ドコモから買って、お値段14万8000円くらいでした。たけえ!

しかし冷静に考えてほしいです。iPhone13Pro Maxの256GBは14万6800円、Xperia1 Ⅲは14万2300円、BALMUDA Phoneのソフトバンク版は14万3280円です。14万円というお値段は、ハイエンドスマホの世界ではごく普通の価格です。そして本機種はSnapdragon888を搭載した最新ハイエンドスマホなのです。

いまどき、ハイスペックなケータイが14万円もするのは、決して安くはないけど、理不尽に高いわけでもありません。Galaxy Z Flip3 5Gは高くないのです!

この機種の一つ前のモデルであるau版の「Galaxy Z Flip 5G SCG04」は定価18万5000円もして理不尽に高いわけですから、そのお値段と比較すると、今回発売のZ Flip3 5Gは非常にお求めやすくなったことがわかります。

まあ実は、海外版なら999.99ドル(11万ちょい)で買えるので、日本版だけ微妙にぼったくられていてちょっとムカつく部分はあるんですが、とはいえ折りたたみ機構がついた未来のスマートフォンが、折り畳めないiPhoneや折り畳めないXperiaと変わらない価格で手に入るわけです。ふつうに考えて折り畳めないよりは折り畳めるほうがいいですよね。買うしか無いですよね。

そういうわけなので1億回ローンを組んで買いました。

折りたためるってどう?うーん、あんま良いこと無いぞ!

なんといっても画面ごと折り畳めるのが特徴です。

折り畳める時点で、スタイリッシュで未来っぽくて超カッコいい!という最強のメリットがあって、それだけでもう14万を出す価値はあるわけです。けど、それ以外になにか折り畳めることで発生する実用上のメリットはあるんでしょうか?

4ヶ月使ってみた限り、それほどデカいメリットは正直に申し上げて、ありません。ガチで無いです。

よく聞く主張として、折りたためばポケットに入りやすいし、胸ポケットにも収まるじゃん、という意見があります。

そんなことはないです。折りたたむことによって厚みが増すからです。

みてくださいこの写真に写っているスマホの分厚さを。

おれの機種はケースに入れた上でバンカーリングもつけているので余計に厚く感じる部分はあるんだと思います。しかし、バンカーリングはおれ個人のシュミだとしても、14万のスマホにケースをつけない人はほとんどいないでしょう。で、折りたたむとケースの厚さも2倍に感じられてしまうわけです。これは痛いです。

たしかに折りたためばフットプリントはとても小さくなるんですが、折りたたんだときの厚みが強烈すぎて、ポケット内での存在感は、折り畳めないスマホと比較しても大して変わりません。しかも分厚さのせいで胸ポケットにも入らないことも多々あります。折り畳めるからといって携帯性が向上するかと言われると全然そんなことはありません。

男性なのか女性なのか、普段どんな服を着るのか、といった要素によって感じ方は変わってくるとは思いますが、男で全身ユニクロのおれとしては、折り畳めるからといってポケットのおさまりが良くなるとは思いませんでした。

開いたときの画面サイズはたしかにデカいんですが、縦長なのが微妙です。

スマホの使用感はどちらかというと横幅で決まってきます。持ちにくさを決めるのは基本的に横幅ですし、情報の見やすさを決めるのも基本的に横幅です。縦幅をでかくしても、上の方に指が届かなくなるだけで、いいことはあんまりありません。

縦長スマホが持っている数少ない良い点は、上下で違うアプリを開いたときに快適なこと、くらいでしょう。マルチウインドウを活用しまくっている人にとっては良い機種なのかもしれないですが、残念ながらおれはあまり使わないので、そこまでデカいメリットにも思えません。おれはマルチウインドウを使うくらいなら二台持ちする派の人間です。

個人的に折り畳めて助かったな~と思ったのは、少しだけ角度をつけて折りたたみながら使用することで、周りからの覗き見を防止できる点です。

おれは(自分でもなんでなのかわかりませんが)スマホを覗き見されることに対する抵抗感がすごく強く、正義の味方・スマホ絶対覗き見されたくないマンを名乗っているので、これまでは電車に乗るたびにポテチを買ってきてポテチの袋の中でスマホを操作していました。Galaxy Z Flip3 5Gならわざわざポテチを買わなくても多少のセキュリティを確保できるので大変たすかります。このウェブサイトの主たる読者層である女子高生のみなさまにおかれましてはスマホの中にヒミツがたくさん詰まっていることでしょうから、買ってみるといいんじゃないでしょうか。

それと、少しだけ折りたたむことによってスマホ筐体が手にフィットする「くの字」の形状になるので、画面サイズのわりに片手操作がしやすいのも助かるといえば助かります。でも、どっちでもいいと言えばどっちでもいいです。

あとは、暇なときにパカパカ開いて遊ぶのが楽しいのも地味に大きな長所です。これは意外と馬鹿にできないメリットです。一昔前に人びとがハンドスピナーとかいう意味不明なおもちゃを買い漁っていたことからも理解できるように、人間は無限に動かせるオモチャが意外と大好きです。

デメリットがデカすぎる!マジでやめとけ

以上の通り、折り畳めるからといって良いことはあまり発生しないわけですが、悪いことはいくらでもあります。

シワがあるよ~

まずは折りたたみ箇所の違和感です。

よく見なくても、曲がる部分の画面が歪んでいることがわかります。

ちょっと気になるけど慣れるかな?と思ったんですが、慣れません。

そんなに死ぬほど気になるか?耐えられないほどか?と聞かれると実はそんなことは無いんですが、それでも気になるのは事実です。特にKindleで本を読んでいると、どうしても違和感があります。

見た目だけではなく触ったときに違和感があるのもいまいちです。継ぎ目にはしっかりと段差があるので、スワイプ操作をしようとすると、段差で指が離れてタッチの判定が解除されてしまうんじゃないかと気になってドキドキしてしまいます。実際はソフトでうまく補正してくれているのか知りませんけど、段差でタッチの判定が途切れることはまず無いんですが、操作していてヒヤヒヤする気持ちは拭いきれません。

折りたたむのがめんどいよ~

これを言ってしまうと身も蓋もないんですが、イチイチ開くのがめんどくさいのも辛いポイントです。

思えばガラケーはとてもよくできていました。横幅が狭いので手で強めにホールドすることができつつ、ちょっと指を入れるだけでパキッっと画面が少しだけ開いて、手首のスナップで画面の角度を全開にすることができたあの操作感は、日本が世界に誇るすばらしい質感でした。なによりガラケーは14万円もしなかったので多少雑に扱っても問題ありませんでした。

ガラケーと比較してしまうと、Galax Z Flip3 5Gの質感はかなりイマイチです。ガラケーよりは横幅が広くて持ちにくいので片手で開こうとすると落とさないか心配ですし、ヒンジは微妙に硬いですし、指を画面の間に入れても自動では開きません。どうもこの機種は、片手で画面を開くことを想定していないようです。

そんで、硬い素材で作られたヒンジだけを動かせば良いガラケーと違って、Galaxy Z Flip 5Gは樹脂でできた画面も同時に折り曲げないといけないので、開閉時の質感がプラスチッキーで好きになれません。

おれはどうしても片手で開きたいので手首のスナップをきかせてうまいこと画面を開いているんですが、いつヒンジが壊れるかと思うと夜も眠れません。

サブディスプレイがゴミだよ~

本体を開くのが億劫になった人向けに、外側にちっこいタッチディスプレイが一応ついています。しかしコイツがなかなかクセモノです。というのも、機能がかなり限定されているからです。サブディスプレイで使える機能は次の通りです。

・通知を表示
・時計を表示
・音楽アプリを操作(戻る/進む、再生、停止のみ)
・天気予報を見る
・アラームを解除
・ボイスレコーダー
・タイマーを開始/停止(時間設定等はできない)
・自撮り

ひどいのがタイマーです。サブディスプレイでは開始と停止しか操作できず、時間を設定するためにはスマホを開く必要があります。意味不明な仕様ですよね。サブディスプレイはそこそこ高精細で、タッチ感度も悪くないので、時間設定くらいさせてくれよと思います。

全体的に作り込みがイマイチなので、おれはいくつかあるサブディスプレイの機能のうち、「時計を表示」と「音楽アプリを操作」しか使いません。この二つは便利といえば便利なんですが、無いなら無いで問題ない程度の利便性です。

半端なサイズのサブディスプレイをつけるくらいなら、そのぶんをバッテリーに回してほしかったなと思います。

バッテリーがマジのガチで最悪

折りたたみ機構を付けたことによる一番の弊害はバッテリー持ちの悪化です。なんてったってZ Flip3 5Gはバッテリー容量が3300mAhしかありません。

いまの標準的なスマホは4500mAhくらい積んでいるので、普通のスマホと比較すると3割くらい少ないことになります。大画面5Gスマホでこの容量はこれはかなりキツいです。

旅行にいくとマージで1日持ちません。7時に家を出て、ぼちぼち写真を撮ったり音楽を聴いたりGoogleMapを見たり電車内でスマホをいじっていたりすると、14時はもう電池がきれそうになっています。

5Gなんて掴んでしまった日には、バッテリーに穴空いてんのか?と思うくらいの速度で電池が減っていきます。5Gは設定でオフにできるので、オフにする覚悟を持って購入すればあまり問題にはならないです。しかし、おれにはせっかくついている最新機能をオフにするような真似はもったいなくてできないので、5Gを掴んでしまったら大して体感速度が早くなったわけではないスマホを眺めながら、泣きながらパーセントが減っていくのを眺めていることになります。

バッテリーが雑魚い原因は間違いなく折りたたみ機構のせいでバッテリーを積むスペースが奪われているせいです。天下のサムスンが設計しても3300mAhになってしまうのであれば、もはや現代の技術ではこれ以上の容量は望めないのかもしれないです。しかしそれにしたって、こんなの売っちゃダメでしょと思うレベルの電池持ちです。

個人的には、サブディスプレイを小さくするか、大胆に厚さを増すかして、そのぶんをバッテリーに回すべきだったと思います。いくらなんでも3300mAhは使い物になりません。

百歩譲って3300mAhで売りに出したいなら、OPPOがやっているような数分で50%くらいまで充電できる超超高速充電に対応した上で、充電器と充電ケーブルを同梱しておくべきだと思います。この機種はたかだか15Wの充電に対応しているだけで、しかも充電器は付属しません。充電器が付属しないのはおそらくゴミとコストを削減するためなんだと思いますけど、高速充電規格が乱立しまくっている現在では流石に純正充電器は付属品として同梱しておいてほしいです。

重心を考えて

このスマホは重心がど真ん中にあります。正直かなりイマイチで、なんでこんな設計にしちゃったんだろと思うと、すごく微妙な気分になります。

重心が真ん中にあるスマホはべつに珍しくないですが、この手の縦長スマホに関しては話が変わってきます。縦長スマホの重心が真ん中にあると、手のひらに乗せて操作しようとしたとき、重心が手のひらからはみ出して落としてしまいそうになります。

実際のところ落下にまで至るケースはあまり無いんですが、操作していて、あれ、これちょっと気を抜くと落としちゃうよな、という不安感はどうしても残ります。

もう少しでも上部を軽量化して下部を重くしておけば、ここまで不安定な持ち心地にはならなかったはずです。もうちょっと上手いことやってほしかったです。

とはいえ結構好きだぞ!

でも好きなんですよね~このスマホが。

やっぱり、折り畳めるというのは、ただそれだけで非常にデカいメリットです。具体的に折り畳めて何が良いのかと言われると言葉に詰まってしまうんですが、それでもおれはこのスマホがそこそこ好きです。

そういえば折り畳めることによって発生するメリットをもう一つ思い出しました。折りたたむことによってスマホいじりを意識的に終了することができる点です。

ふつうのスマホだと、よしスマホいじりをやめるぞ、と思って電源ボタンをポチと押しても、なんだか「やめた感」が無く、ついついまた電源ボタンを押してしまうわけです。一方で折りたたみスマホであれば、折りたたむという大げさな動作によって、キリのないスマホいじりに精神的な区切りをつけることができます。ついダラダラスマホをいじってしまう我々にとって、スマホいじりをやめたり再開したりする行為を意識的に行える「折りたたみ」というインターフェイスは、実はけっこうの良いかも、と思います。もちろんこれは裏を返すと、使うたびにパカパカしなくてはいけないので非常にめんどくさくて最悪とも言えます。とはいえ、本だって、パタッと開いたり閉じたりすることで「読書を開始するぞ」「読書をやめたぞ」という精神的な区切りが発生するわけです。あれもなかなか良いインターフェイスだなと思います。もしこの世の本が全部ホチキス止めのレポート用紙のような装丁だったら、読書はもっと味気ないものになっていたかもしれないです。

いろいろ言いましたけど、折りたたみというギミックには、かなりのポテンシャルがあるとおれは思っています。惜しまれるのは技術があまり追いついていないという、ただ一点に尽きます。あと3年くらい経って、コストが安くなって、バッテリー問題もどうにかなって、ディスプレイの継ぎ目がもう少し気にならなくなって、折りたたみスマホの設計ノウハウが蓄積されてきたら、そのときはストレートの折り畳めない雑魚スマホをけちょんけちょんにしてくれるに違いないと、おれは信じています。

と、頑張って良いところを探してみたものの、14万出してこんなスマホを買うのはかなりクレイジーなので、特に新しいテクノロジーに興味のある人でない限りは絶対に買わないほうが無難です。おれは新しいテクノロジーに興味があるので買ってよかったと思っています。

14万ドブに捨ててもいいよ~という方だけ買えばいいんじゃないでしょうか。

せろりんでした。

コメント

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