せろりんです。
おれは最近までHUAWEIのP30を使っていました。
HUAWEIといえばご存知の通り、米国とのいざこざに巻き込まれてGoogleに出禁を食らってしまったメーカーです。
そういうわけなのでHUAWEI製端末はある時期からGoogleの機能が使えなくなってしまっているわけですが、このP30という機種はハイエンドなスマホとしてはGoogleの機能が使える最後のHUAWEIスマホです。
いまさら購入する人はそう多くないとは思いますが、こういうスマホもあったよ、という記録として2年半使用した上でのレビューを書こうと思います。
ギラギラの見た目。でもいいよね
おれのP30はオーロラブルーというカラーです。グラデーションのかかった青色で、見る角度によって色合いが変わります。
こんな感じのギラギラなグラデーションカラーは、2年くらい前に中国製端末を中心にポッと流行っていつのまにか下火になってしまいましたけど、おれはこのギラギラした色が大好きです。海のように深い青で、個性的で、遊び心があって、派手派手で。好みは分かれるんでしょうけど、おれは好きです。
おれは「どうせケース付けるんだからスマホのデザインなんてなんでもいいだろ」論者なんですが、しかしこのスマホに限っては、ときどきケースを外してボディを眺める行為をして塗装のかっこうよさを楽しんでいました。
正面については至ってふつうです。二年前の端末なので、最新のハイエンド機種と比較するとやや野暮ったいデザインではあります。
カメラがガチ最強
P30の素晴らしく素晴らしい点は、なんといってもカメラです。HUAWEIはカメラがめちゃくちゃスゴいことで有名なメーカーなんですが、その数あるラインナップの中でもPシリーズは特にカメラに注力したシリーズです。
際限なく大型化しているいまどきのスマホカメラとは違って、カメラがちゃんと3個ついていながらカメラユニットが非常に小さく、スタイリッシュな印象です。
P30はライカブランドのカメラを搭載しています。あのライカですよ!
まあライカがどの程度カメラづくりに関わっているのかはかなり謎で、ブランドを貸しているだけ説もあるんですが、とはいえあのライカが独占的にブランドを貸す判断をするに足るだけの性能を持っていることは間違いありません。
ライカうんぬんを抜きにしても、この時代のHUAWEIにカメラ性能で勝てるメーカーは無かったんじゃないかとおれは思っています。
作例を見ていきましょう。
ウンチク抜きで超キレイですね。まあ最新のハイエンドスマートフォンであればこのくらいは撮れて当たり前みたいな部分はあるんですが、2年前のスマホにしては驚異的なきれいさです。
なんと星すらもこの通りに撮れてしまいます。天の川っぽいシミみたいな模様すら写っていますね。
P30のカメラは高感度耐性(暗い場所をキレイに撮る性能)がめちゃくちゃ優れており、最近のハイエンドスマホにも負けないくらいの化け物じみた性能を持っています。
バケモンみたいな高感度耐性によって蛍の光すら捉えます。
スマホカメラとしては異常な高感度耐性の秘訣は、RYYBセンサーとよばれるHUAWEI独自のイメージセンサーです。
ふつうのスマートフォンはレッド、グリーン、ブルーの3色を配置したRGGBセンサーとよばれるセンサーを使っているらしいんですが、P30はグリーンの替わりにイエローの光を捕捉する画素を配置したRYYBセンサーとかいう謎のイメージセンサーを搭載しています。グリーンよりイエローのほうが光を取り込みやすいので暗い場所でも明るく写るそうですよ。
シンプルにきれいですね。写真って、夕暮れとか逆光とか夜景とか、撮影するのが難しいシーンを上手く写せたときこそ感動的な画に仕上がる傾向がありますけど、P30のカメラはAIかなんかの謎の技術をふんだんに盛り込むことで、撮影するのが難しいシーンでも補正でいい感じにしてくれます。
このシーンだって、やや補正しすぎ感はあるんですが、とはいえキレイです。
Windows XP
一眼レフで撮ったかのような迫力のある写真ですね。
P30は3倍の望遠カメラを搭載しています。
スマートフォンの望遠カメラの真の価値は、遠くの鳥が撮れるとか、月が撮れるとか、そんなものじゃなく、そこそこ近くのものをド迫力で撮れる点にあるとおれは思っています。
近くから広角で撮るのと、遠くから望遠で撮るのじゃ、迫力がぜんぜん違うのです。
3倍という数字もきわめて丁度いいです。2倍だともうちょっとデカく写したいし、5倍だとさすがにデカすぎて使い勝手が悪いです。
3倍の望遠カメラはいろんなシチュエーションで便利に使えます。たとえば人物をカッコよく撮るには3倍くらいが一番良いとおれは思いますし、実際、カメラの世界だと人物写真はスマホで言うところの3倍相当の画角で撮影することが多いです。
望遠カメラはもちろん遠くの小さいものを撮るためにも使えます。かなり無理のある写真ではありますが、月も撮ろうと思えば撮れます。
さすがにボヤ~っとしていますが、とはいえスマホでここまで撮れるのはかなりすごいです。
望遠性能もさることながら、月の光ってかなり弱いのに、ちゃんと肉眼で見たのと変わらないくらいの明るさで写っているのがすごいです。たとえば一眼レフだと、どれだけ望遠なレンズを使っても、うまいことマニュアルで設定しないことには目で見た通りには撮れません。
星空とか、夕焼けとか、夜景とか、われわれが美しいと感じる風景のほとんどは、カメラでは撮影するのが難しい状況です。しかしHUAWEI P30のカメラは、最強のイメージセンサーと最強のソフトウェア技術を駆使して、撮影するのが難しい状況こそ美しく記録に残してくれます。
見たものを、見えたとおりに、シャッター一つ押すだけで記録してくれるのがP30のすばらしいところです。
炭鉱を模した博物館の写真ですね。光が少ない地下であるにも関わらず、ザラつきはほとんどありません。2年前のスマホにしてはすごいですし、今のスマホでもここまで撮れれば上出来だと思います。
P30のようなカメラガチスマホが発表されると「カメラにこだわり無いし…」「興味ないし…」みたいな反応をする人がワラワラ出てきますけど、おれはカメラにこだわりがない人こそHUAWEIのスマホを買うべきだと思います。カメラに詳しい人は知識と技術を駆使してHUAWEI以外のスマホでもいい感じに撮影できちゃいますからね。
カメラのことなんてよくわからなくて、写真もめったに撮らないからこそ、HUAWEIのカメラが思い出を写真に残す手助けをしてくれるのです。
とはいえHUAWEIのカメラはちょっと補正をしすぎな気もします。これは岐阜のモザイクタイルミュージアムです。アメリカか?ってくらい青い空です。岐阜ではここまでの青空は見れないでしょう。
こうなってしまうのは、HUAWEIのカメラが、実際の色より記憶色を撮ることを重視しているためです。人間の脳みそはどうやら実際に見た色よりも鮮やかな色を記憶したがるらしく、脳に記憶される鮮やかな色のことを記憶色と言います。たとえば桜ってピンクのイメージがありますけど、実物はほぼ白なわけです。
HUAWEIは記憶色に合わせた写真が撮れるようにうまいことソフトウェアをチューニングしているようです。ただ、理屈はわかるにしても、やっぱり補正しすぎだろとは思います。
P30のカメラは食品っぽいものを検知すると自動で映え映えモードに移行し、これでもかってくらい色や光を盛ってくれます。
P30で撮れば、飯の写真をSNSに上げるだけでいいもん食ってるマウントを自動的にとることができて便利ではある反面、さすがにちょっと盛りすぎ感もあります。
この写真の通りだとしたら、こんな夢の世界みたいなお店におれみたいなキモオタクは行かれません。実物はもうちょっと地味な感じです。
そういうわけで、ソフトウェアでいい感じにしてくれる技術がとにかく卓越している上に、ハードウェアでも妥協が無いのがHUAWEI P30のカメラです。ちょっと盛りすぎ感もあるんですが基本的にはいい感じにしてくれます。
いろいろあってGoogleにBANされてしまったようですが、Google機能が使えなくても、それでもいいからまたこのメーカーの最新のスマホを使いたいな~と思える神カメラでした。
カメラだけじゃない!最新すぎない親切設計
P30のよいところは、安っぽすぎず、かといって最新すぎない堅実な設計です。
P30は、最上位のハイエンド機種である「P30 Pro」と、下位モデル「P30 Lite」の中間グレードです。中身はどちらかというとP30 Pro寄りのハイエンド設計ではあるんですが、HUAWEIの看板商品であるP30 Proほどは無理やり機能を詰め込みすぎておらず、質実剛健な作りになっています。
当時のガジェットオタクは中間グレードであるP30にあまり注目しなかったようで、レビューしている人もそんなに多くはなかったようですが、おれは価格差を無視してもP30のほうがP30 Proより使いやすいのではないかと思っています。
まず最高なのはイヤホンジャックを搭載している点です。最近のスマホにはイヤホンジャックが付いていないのが普通ですけど、イヤホンジャック廃止の風潮が発生したのはちょうどこの頃でした。
さすがに最近はワイヤレスイヤホンが普及してきたので、イヤホンジャックなんていらない気もするんですが、当時は有線イヤホンを使っている人も多く、廃止していいかはなんともいえないところでした。
で、最上位機種のP30 Proにはイヤホンジャックがついていないんですが、P30にはついています。おれは有線のイヤホンやヘッドホンをたくさんもっているので、この穴に何度助けられたことかわかりません。
さすがに最近はもうイヤホンジャックなんて要らないような気もしますが(必要だと思う人の気持ちもわかります)、この頃のスマホとしてはイヤホンジャックを設けたのは正解だったと思います。
P30 Proはエッジディスプレイを採用している一方で、P30はふつうのディスプレイなのも良かったです。エッジディスプレイなんて見掛け倒しで、実際使ったらいいこと一つも無いです。
有機ELディスプレイもキレイでよかったです。キレイでありながら、不自然に色が強調されている印象は一切無く、質実剛健です。
分厚すぎず、かといって無理やり薄くしている印象もなく、端末のサイズ感がちょうど良いのも最高です。165gと重すぎないのも相まって、片手で操作していても辛くないのが良いです。
電池持ちもふつうに良いです。特別よく持つわけでもないんですが、ふつうに持つので助かります。
いまどきの5Gスマホは5Gを掴むと電池の減りがヤバいので、5Gに対応していないがゆえに電池を温存できるのも良いです(5Gスマホを買って5Gをオフにすればいいだけの話ではありますけど)。
当時にしてはそこそこ早い急速充電に対応していたのも良かったです。
P30 Proの悪口を言うつもりはマジで無いんですが、とはいえああいうフラッグシップスマホは会社の広告塔としての役割があるので、どうしても実用性を無視して華々しい機能を詰め込みがちになります。それはそれで使っていて楽しいのも事実なんですが、P30のような落ち着いたグレードのスマホのほうが使いやすい部分も大いにあります。
微妙なところもあるよ!
P30はかなり無難に作られているスマホなんですが、唯一当時にしてはトガッていたのは画面内指紋認証を採用していた点でしょう。
画面内指紋認証は、個人的にはちょっとなんとも言えない感じでした。画面に指を置くだけでロック解除できるので、解除するときの指の動作に無理がなく、うまく認証されれば快適な機構です。しかし、認証の精度も速度も画面外指紋認証と比べるとかなりイマイチで、操作感の秀逸さに比べて技術が追いついていない印象がありました。
とはいえHUAWEIはインカメラを使った顔認証が爆速で、ふつうは指紋センサーに手を置く前に顔でロック解除されてしまうため、画面内指紋認証がポンコツな割にはロック解除でイライラすることはそこまで多くありませんでした。個々の要素がダメでもシステム全体でいい感じになっているのであれば問題ないと思います。
それと、スピーカーがモノラルで、音量も音質も微妙だったのも残念でした。おれは皿洗いしながらYoutubeを見る人間なので、音質はいいとしても音量が小さいのは困ります。もう少し頑張ってほしかったです。
IP53の防滴にしか対応していないのもイマイチでした。IP53の防滴がどの程度のものかと言うと、「垂直より左右60°以内からの降雨によって有害な影響を受けない」とされる保護等級です。これだけ聞くと「シャワーくらいなら耐えられそうだな」と思ってしまうところですが、何を隠そうおれはP30にシャワーの水をかけてしまい1台オシャカにしたことがあります。
まあスマートフォンの防水等級なんて真に受けるほうがアホなんだとは思いますが、とはいえあの程度の水で壊れちゃうのか~と思うと、いくらカタログスペックがIP53になっていても日常生活で安心して使うことは難しいので、もうちょっとグレードの高い保護等級を目指してほしかったです。P30 ProはIP68(水に沈めてもオッケー)ですからね。
良い機種だし今でも買えるぞ!
そういうわけでP30のレビューでした。
別れを惜しむような語り口でレビューを書いてきましたがP30はいまでも普通に売っています。
いまなら新品でも5万円ちょっとで買えるので、低予算でカメラが強いスマホがほしいなら実は意外と狙い目かもしれません。
誰にでもオススメできるかと聞かれるとそんなことはないですが、予算5万くらいでカメラが強いスマホがほしいなら、ハンパな最新スマホを買うより型落ちのP30を買ったほうが幸せになれるような気がします。
1枚いかがでしょうか。
せろりんでした。
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