Unihertz Titan Slimレビュー│ギリ普通に使えるけど遅すぎる!

PCキーボード

せろりんです。

Unihertz Titan Slimを買ったのでレビューします。

どんなスマホ?

中国の謎メーカー・Unihertzが販売しているスマホ「Titan Slim」です。

見ての通り物理キーボードがついているのが一番の特長です。お値段はKickstarterの請求額で3万1203円でした。Unihertzといえば、とりあえずクラウドファンディングで出資を募ってからAmazonなどで発売するタイプの謎のスマホメーカーです。

おれはクラファンで買ったのでだいぶオトクな価格でしたが、いまAmazonで買おうとするともうちょっと高いみたいです。

スペックはSoCがHelio P70、メモリが6GB、ストレージが256GB、画面解像度が768*1280、バッテリー4100mAh、OSがAndroid11、5G非対応、指紋センサー搭載、重さ204gです。

「Titan Slim」が存在するのであれば「Titan」も存在するわけです。これは3年くらい前に買った「Titan」です。大きさはパスポートくらいです。質量が重すぎて売ってしまいました。

ほかにも「Titan Pocket」というBlackBerry Bold 9900みたいな形の兄弟機も存在します。

とにかく遅い!これはちょっと…

この端末の最大のイマイチポイントは、CPUの遅さです。Titan SlimはHelio P70というSoCを積んでいます。CPU以外はまあボチボチ悪くないんですが、とにかくCPUが遅すぎます。マジで遅いです。

Antutuベンチマークの報告を見ると22万点前後の数字が並んでいます。22万点!

最新フラグシップSoCのSnapdragon 8 Gen1が90万点くらい、ミドルレンジのSnapdragon 695が40万点くらいと考えると、Titan Slimの22万点は非常にショボい数字です。

実際使ってみると、ウェブサイトの画像の表示がもっさりしていたり、ちょっとTwitterをスクロールしただけでカクカクしたりと、イマドキのまともなスマホと比較すると何をやらせても明らかに遅いです。

特に困るのがTwitterのアプリの強制終了です。CPUが弱いからなのかは不明ですが、Twitterを使っていると突然カクカクし始めてアプリが落ちることがあります。いまどきのまともなスマホではTwitterが落ちることなんてめったに無いわけですが、Titan Slimだと1日1回くらい落ちます。

今現在は「超遅いもののゲームしないなら使えなくはない」くらいの体感ではあるんですが、スマホの処理速度が落ちてコンテンツも重くなっているであろう1年後2年後のことを想像すると、その頃まで使い続けるのは無理だろうなと思います。まあCPUが弱いのは買う前からわかっていたことではありますけど、いざ使ってみると思ったよりキツいなというのが率直な感想です。

それでもおれがコレを買ったのはひとえに物理キーボードがついているからです。

普通に使える物理キーボード端末だぞ!

この端末のすばらしいところはなんといっても、物理キーボード端末なのに普通に使える、という点に尽きます。

物理キーボード端末愛好家は物理キーボード端末なのに普通に使えることのすばらしさがよくわかるんじゃないかと思います。

いまどきのスマホコンテンツはほとんどが縦長の画面に最適化されているわけです。一方で物理キーボード端末は、TitanやTitan Pocketがそうであるように画面が正方形だったり、キーボード入力時は横画面にする必要があったりします。縦長じゃない端末だと、アプリが動かなかったり、正方形の中に無理やり縦長の画面を表示しようとして表示がおかしくなったりしがちです。物理キーボード端末マニアは普通のスマホだったら問題なく使える機能の多くを諦めなければいけません。生きることは諦めることなのです。

ところがどっこいTitan Slimは縦長なので、YoutubeもブラウザもLineもTwitterもなにもかも普通のスマホと同じ感覚で使うことができます。画面こそ小さめ(4.2インチ)なので若干の覚悟は必要ですが、非常識なほど小さいわけではないのでイラっとくることは稀です。

キーボード配列はマジで微妙

完璧な絶望が存在しないのと同じように完璧なキー配列も存在しないわけではありますが、それにしたってTitan Slimのキー配列は微妙だろと思います。

まず微妙なのがスペースキーの位置です。なんでそこに付けた!?と思います。実はこの謎配列はUnihertzスマホの伝統的な配列ではあるんですが、毎回それなりに不評の声が寄せられているのに直さないのはなんでなんだろうなあと思います。

たとえば、この端末は「J」の真下に「B」があるわけです。しかし普通のPCキーボードはJの真下から1.5キー分左に移動した場所に「B」があります。普通のPCや普通のAndroidのソフトウェアキーボードに慣れているとキー配列が直感に反しすぎていて使いにくいです。下にもう1列追加して、そこにスペースキーを置くことはできなかったんでしょうか。

カーソルキーが無いのもいまいちです。1段追加すれば左右のカーソルキーくらいは付けられたのに・・・。カーソルキーがあるとないとで、文字入力の捗り方は全然違います。

ここで、「下に一段追加するのは場所が無いから無理」みたいな反論が発生しうるような気もします。しかし、冷静に考えると1段分の場所を創出する方法はあります。ナビゲーションキー(戻る、ホーム、タスクボタン)を廃止すればいいのです。

こいつら、果たして必要なんでしょうか。いまどきはボタンではなくナビゲーションジェスチャを使う人がほとんどかと思います。この列を廃止して、一番下にもう1列創造してほしいところです。

創造した列には、もともと最上段についていたShiftキーとSymキーとFnキーとAltキーのほかに、カーソルキーとスペースキーとカンマとピリオドでも乗せておけばいいんじゃないかと思います。おれの妄想を垂れ流してしまって申し訳ないんですが、でも物理キーボードスマホファンが10人いたら恐らく9人は現行の配列よりぼくがかんがえたさいきょうのキー配列のほうを選ぶだろ、と思います。スペース的にはもとの配列と変わっていないので技術的にはコレも実現可能なはずです。

FとJに突起が付いていないのもイマイチです。ただ、突起がついていない物理キーボード端末も世の中にはたくさんあるので、これに関しては別にUnihertzが特別悪いわけでもないです。そうは言っても、突起があるとないとではタッチタイピングの難易度がぜんぜん違うので、これは流石にあってほしかったな~と思います。

実はキー配列はTitan Pocketとまったく同じです。最大限好意的に捉えるなら「Titan Pocketのユーザーが違和感なく使えるようにまったく同じ配列にした」という解釈も可能なのかもしれません。けど普通に考えれば、手を抜いて同じ設計にしてるだけだろと思います。キーボードが命の端末なのですから、もうちょっと作り込んでほしかったです。

ちなみに文字入力のフィーリングは良好で、小さいキーボードの割には特にストレス無くサクサク打てます。配列はイマイチなものの文字打ちは普通に快適なのです。Titanのキーボードがかなり微妙だったことを考えると、キーボードはなんだかんだ進化しているなーと感じました。あらゆる点が酷いクオリティである一方で、肝心の入力フィーリングだけは悪くないのがこの機種の憎めないところなんですよね。

技術力が低いぞ!

Unihertzは謎の弱小メーカーなので、SamsungやAppleのようなトップメーカーと比べるとクオリティが劣るのはしゃーないです。しかしそれにしても、Titan Slimはクオリティが低い部分があまりにも多いです。

Unihertzはもう10台以上スマホをリリースしてきたいっぱしのメーカーなんですから「クラファンだからしゃあない」「小さいメーカーだからしゃあない」みたいな言い訳はさすがに通用しない段階になってきていると思います。

ベゼルが太い!

どうでしょうこのベセル(画面縁)の分厚さ。横に並べたのは、いまどきのスマホとしては標準的なベゼルの厚みを持つ「Huawei P30」です。

サイドのベゼルはまあギリ許せなくはないレベルですが、上下はさすがにひどすぎます。上と下でデッドスペースが合計2cmくらいあります。ベゼルを普通の端末並みに削れば、同じ画面サイズのまま超コンパクトな神機種にできたはずです。ベゼルのせいで非常にもったいないことになっています。

厚すぎる!

青いのが今どきのスマホとしては標準的な厚さのHuawei P30です。

Titan Slimは防水防塵耐衝撃でもないのに分厚すぎます。バッテリーも4100mAhと特に大きくないのに、どうしてこうなるんでしょうか。

Titan Slimの厚みは数字にして12.75mmです。Titan Slimはカメラの出っ張りが無い(このスマホの数少ない美点の一つです)ので、現代のカメラ出っ張り機種との単純比較はできないものの、iPhone13のボディが7.65mmであることを考えると異次元の厚みです。

といってもボディが小さいので厚みは実はそこまで気になりません。スタイリッシュさは皆無ですが、厚いからといっても実用上はそこまで困らないのも事実です。むしろ持ちやすくてありがたい気すらします。

そういうわけなので厚いこと自体は別にいいんですが、どうせ厚く作るならバッテリーをもっと増やしてほしかったです。この端末はCPUが雑魚くて発熱しないのでバッテリー持ちは非常に良いんですが、もっと持つに越したことはないでしょう?

Unihertzは伝統的に耐衝撃の分厚いスマホばかり作ってきたメーカーなので小型化の技術が無いのかもしれないです。

画面が汚い

液晶が汚いです。表示が荒い上に発色も悪く、10年前のスマホかよと思ってしまいます。安いスマホなので割り切って使いますけど、他のメーカーのもっと安い機種はもうちょっと頑張ってるぞ、と思います。

それと、おれの機種は画面の左下に灰色っぽいシミがあります。太さ1ミリ、長さ5ミリほどの直線状のシミがあって、写真に写らない程度の薄いシミではあるんですが、これが肉眼だとそれなりに気になります。

返品しようとも思ったんですがクラウドファンディングだからしゃあないなという気持ちはありますし、我慢できないほどではないですし、何より外国のメーカーとやりとりするのは面倒くさいので放置しています。

Titan Slimを買った人の報告を見ると、液晶に限らずあちこちの部品で初期不良を引いている人がたくさんいます。「クラウドファンディングだから初期不良はしょうがない」みたいな理屈は、クラファンの発送とほぼ同時にAmazonで発売していることを考えると流石に通らないとおれは思います。

Unihertzは既にいっぱしの携帯屋さんなんだから、もうちょっと検品を真面目にやってほしいです。

超広角くらいほしくない?

いまどきカメラが一つなのは流石に微妙です。こういうUmidigiの1万円台のスマホにすら超広角がついている時代にあっては超広角レンズは必須パーツだと言っても過言ではありません。実際、旅行に行くと普通のレンズよりも超広角のほうが使う気がします。

とはいえカメラの画質は意外と頑張っている印象です。もちろんSamsungやAppleと比べるとカスみたいな画質ではあるんですが、この手の中華製謎激安スマホにしてはそこまで酷くない印象です。昼間の屋外ならスマホのちっこい画面で見るぶんにはそこそこ見れます。

かなりの接写ができるのもいいですね。一昔前の中華スマホの中には画質やレンズ性能がショボすぎてメモ的使い方すら困難な機種もあるわけですが、Titan Slimならメモ程度は問題ありません。

謎にタッチパネルが反応しないときがあるぞ

LINEの文字を送ろうと右下の送信ボタンをタップしても、タップされた扱いにならないことがあります。故障なのか仕様なのかソフトのバグなのかもわかりませんが、普通に困るのでなんとかしたいです。

ナビゲーションジェスチャを使おうと思って画面下端から上にスワイプしても反応しないこともあります。ここはおそらくハードウェアというよりはソフトの作り込みの問題だと思います。

画面操作に謎の違和感があるのも嫌です。おそらくタッチパネルのガラスが分厚いからなんだと思いますけど、画面表示面と触れている面に距離があるような気がして違和感があります。10年くらい前のスマホっぽい操作感です。

まとめ:CPUさえ強ければ!

そんな感じです。

ネガティブなポイントをかなりたくさん指摘しましたけど、そのへんは別に割り切れないほどではありません。残念なのはやっぱりレスポンスです。

なにかと酷いのでメイン端末にしたいなら絶対にスルーした方がいい機種ではありますが、4万を捨てるつもりでオモチャとして買うならいいんじゃないでしょうか。

せろりんでした。

コメント